三重短期大学と株式会社三重銀総研は、産学連携事業の一環として三重短期大学生を対象とした第5回小論文コンクールを実施しました。今年度は、東日本大震災の発生を踏まえ、「3・11後のライフスタイル」をテーマに募集しました。 2011年7月から10月までの応募期間中に15件の応募があり、11月2日に両機関の関係者5名で構成する選考委員会で応募作品を審査し、最優秀賞1件、優秀賞3件、佳作・特別賞1件、佳作3件を選考するとともに、11月19日に開催された三重短期大学大学祭において表彰いたしました。
○入賞作品一覧(敬称略)
○入賞作品 小論文要旨
本論文はマスメディアが、東京電力と政府による福島第一原子力事故に対する情報の隠蔽に、加担しているのを明らかにすることが目的である。 まず、災害時におけるテレビ報道は、市民へ多大な影響力を有し、その影響の効果として、市民の認識を形作る。このことを、3.11の福島原発事故での、繰り返し同じ角度からされる報道と照らし合わせると、マスメディアには市民の意識を集中させ、報道される対象以外の情報から、市民の目をそらす働きがあると考えられる。その例として、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)に匹敵する情報が、日本よりも早く海外において報道されていたことが挙げられる。この情報が報道されなかった理由として、東電が独占企業であるにもかかわらず、莫大な広告費をマスメディアに支払っている事実がある。この事実は東電の推進する活動を妨げる情報・批判の広がりを抑えることを目的としていると推測できる。現にマスメディアは、福島原発事故が過去に多発していたことなど、反原発を推進する情報を大々的に報じなかった。 以上によりマスメディアは、東京電力や政府の意図する原発推進に傾いていた、ということがいえる。よって、市民は一部のマスメディアのみではなく、多様なメディアを使うこと、そして、メディアリテラシーを持ち、自分に有用な情報の取捨選択を行うことが、3.11後のライフスタイルでは必要であると考える。
私は東日本大震災によって生じた様々な問題の中でも「サプライチェーンの見直し」に興味を抱いた。なぜならば、日本経済を復興させるためには、産業の仕組みを根本的に見直さなければならないと感じたからである。 震災による被害を分析し、なぜサプライチェーンが断絶したかを考察すると、日本の産業の「特異性」という品質面の強みと「特異性」が生み出すデメリットが明らかとなった。一極集中による生産によって構築されたサプライチェーンはどこかが被災すると、繋がりが絶たれてしまい生産が停止する。しかし、特異性をなくしたとしても、日本経済を再生することは困難であろう。日本の持つ「ものづくり」の技術は、震災における対応力に欠けている一方で、グローバルな競争力の強みになっているからである。日本のサプライチェーンの本質的な問題に目を向けると、サプライチェーンの頑健性を高め、長期的な日本経済の復興を目指すことが望ましいだろう。そのためには、サプライチェーンの可視化と、複数企業間の連携を強めることで、日本の高い競争力を保ったまま、災害のリスクを回避する仕組みを構築していくことが可能ではないかと私は考えた。
自然災害が突然襲い掛かってきたとき、自分の身を守る強い味方となるのは防災力である。東日本大震災を受け、私たちは今こそ防災の重要性を見直すべきである。防災を見直すにあたって特に着目したい点を三つに絞ると、第一に、発信される情報に対して受け身にならないことである。災害時などに出回る情報に対し、受動的な姿勢から能動的な姿勢への転換が求められる。第二に、防災対策を講じる際、常に結果が予想を下回る被害となるように想定することである。それに関連して、ハザードマップを作成することには大きな意義がある。第三に、防災を日常生活と切り離して考えないことである。私たちは、防災を日常生活から独立したもののように捉えているのではないだろうか。防災は日常的に行ってこそ意味があるが、人びとは災害時に行えばよいという風に認識しがちである。近隣住民との情報共有や、家族の外出先の相互確認など、防災に繋がる日常的な行動は多くある。防災を災害時の「応急処置」として考えずに「予防」として考えることによって、日常的に災害に備えることができるのではないだろうか。防災に取り組むことで、私たちは自分自身や自身を取り巻く環境など、多くのことを見つめ直すことができる。
震災復興で早急に対応すべきは雇用の創出である。そこで重要な役割を果たすのが中小企業である。この小論文では、金融的側面から中小企業支援について考えていく。 公的部門の資金繰り支援として、「復興緊急保証」、「復興特別貸付」が創設された。また二重債務問題への対応として「産業復興機構」が設立された。 しかし、これらだけでは不十分である。なぜならば、地元の事情にあわせた細かな対応は、政府では難しく対応スピードにも欠けるからだ。そこで期待されるのが地域金融機関である。東北は震災前から人口や産業の空洞化が目立っていたため、被災地の復旧・復興は単に「旧に復する」のではなく地域再生を視野にいれたものでなくてはならない。そこで、政府の財政支援の下で地域金融機関がリーダーシップを執り、地域のステークホルダーである企業や住民が地域再生の取り組みを行っていかなくてはならない。 また、地方銀行の自己資本比率の基準は4%以上であるが、2011年3月末の被災三県の地方銀行・第二地方銀行の自己資本比率の平均は約9%である。この数字は、被災地の金融機関は中小企業に対し、もっと融資できることを示している。私はこれを機会に被災地の地域金融機関は中小企業支援に積極的になるべきであると考える。